譲渡所得

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譲渡所得

譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。(所法33①)

 かっこ書きの「建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるもの」とは一定の借地権の設定などをいいます。

譲渡所得に含まれないもの

次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
(所法33②)
  1. たな卸資産の譲渡等は、「事業所得」または「雑所得」に該当します。
  2. 山林の伐採または譲渡は、「山林所得」または「事業所得」や「雑所得」に該当します。
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譲渡所得の金額

 譲渡所得は、大きく分けて「所得税法に規定されるもの(原則)」と「租税特別措置法に規定されるもの(特例)」があり、また、特例には「土地、建物等を譲渡した場合の特例」と「株式等を譲渡した場合の特例」がありますが、ここでは所得税法に規定されている原則(いわゆる総合課税の譲渡所得)について、記載します。

 特例については、別途記載する予定です。

譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
(所法33③)

 まず、その年中の譲渡所得を以下の2つのグループに分けます。

  1. 短期譲渡所得…資産を取得の日以後5年以内に譲渡した場合の所得
  2. 長期譲渡所得…資産を取得の日以後5年を超えて譲渡した場合の所得

 次に、それぞれのグループ内で、次の計算を行います。

  • 総収入金額-(取得費+譲渡費用)

 更に、どちらか一方のグループに譲渡損がある場合には、その譲渡損の金額を他方のグループの譲渡益より控除して、他方のグループの譲渡益を計算します。

 その上で、次に述べる特別控除額を控除し、譲渡所得の金額が計算されます。

譲渡所得の特別控除額

前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。(所法33③)

 譲渡所得の特別控除額は、50万円(ただし、譲渡益が50万円未満の場合は、その譲渡益の金額)とされています。

特別控除額を控除する順序

第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。(所法33⑤)

 短期譲渡所得の金額と長期譲渡所得の金額の両方がある場合には、特別控除額は、まず短期譲渡所得の譲渡益から控除し、控除しきれなかった場合は、その残額を長期譲渡所得の譲渡益から控除します。

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非課税とされる主なもの

次に掲げる所得については、所得税を課さない。
九 自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得(所法9①九)
法第九条第一項第九号(非課税所得)に規定する政令で定める資産は、生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする。
一 貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
二 書画、こつとう及び美術工芸品
(所令25)

 いわゆる生活用動産の譲渡に係る所得は、非課税とされています。

 ただし、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や書画骨董などは、非課税とされません。

 ですので、家庭で出た不要品をメルカリなどで売る場合は、利益が出たとしても所得税はかかりません。しかし、反復継続的に営利を目的に取引しているような場合は、その規模により「雑所得」や「事業所得」として課税される場合があるので注意が必要です。

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総合課税の譲渡所得となるものの例

 今まで見てきたところで、土地、建物や株式等は特例が適用されますし、生活用動産は非課税とされていますので、どのようなものの譲渡が総合課税の譲渡所得の対象になるかわかりにくいと思います。

 具体的に、いくつか例を挙げたいと思います。(あくまで一例ですので、他にもその対象となるものは沢山あります。)

  1. 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や書画骨董
  2. 金地金やプラチナ地金、金貨など
  3. ゴルフ会員権など
  4. (自家用ではない)事業用の自動車、機械など

 

文書作成日時点での法令に基づく内容です。
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