株式等の譲渡-一般株式等の譲渡・上場株式等の譲渡

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株式等を譲渡した場合の税金

 まず、株式等を譲渡した場合の所得の区分は、どうなるでしょうか?

 原則として、こちらに記載しているように、「資産の譲渡による所得」に該当しますので、譲渡所得に該当します。(事業所得または雑所得に該当する場合もありますが、通常は譲渡所得です。)

 しかし、譲渡所得のページにも記載していますように、株式の譲渡については、租税特別措置法において特例として規定されていますので、いわゆる総合課税の譲渡所得とは異なる税額計算を行います。

 それでは、株式等を譲渡した場合の税金について見ていきましょう。

一般株式等と上場株式等

 まず、分離課税の申告書を見てみましょう。

 「一般株式等の譲渡」と「上場株式等の譲渡」の文字が見えます。これらが、株式等を譲渡した場合の税金に関係する部分です。

株式等とは

 それでは、まずは株式等とは何か見ていきましょう。

この条において「株式等」とは、次に掲げるもの(外国法人に係るものを含むものとし、ゴルフ場その他の施設の利用に関する権利に類するものとして政令で定める株式又は出資者の持分を除く。)をいう。
一 株式(株主又は投資主(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十六項に規定する投資主をいう。)となる権利、株式の割当てを受ける権利、新株予約権(同条第十七項に規定する新投資口予約権を含む。以下この号において同じ。)及び新株予約権の割当てを受ける権利を含む。)
二 特別の法律により設立された法人の出資者の持分、合名会社、合資会社又は合同会社の社員の持分、法人税法第二条第七号に規定する協同組合等の組合員又は会員の持分その他法人の出資者の持分(出資者、社員、組合員又は会員となる権利及び出資の割当てを受ける権利を含むものとし、次号に掲げるものを除く。)
三 協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号)に規定する優先出資(優先出資者(同法第十三条第一項の優先出資者をいう。)となる権利及び優先出資の割当てを受ける権利を含む。)及び資産の流動化に関する法律第二条第五項に規定する優先出資(優先出資社員(同法第二十六条に規定する優先出資社員をいう。)となる権利及び同法第五条第一項第二号ニ(2)に規定する引受権を含む。)
四 投資信託の受益権
五 特定受益証券発行信託の受益権
六 社債的受益権
七 公社債(預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第二項第五号に規定する長期信用銀行債等その他政令で定めるものを除く。以下この款において同じ。)
(措法37の10②)

 一般的にイメージする株式の他、主なものでは、投資信託の受益権、公社債等も株式等とされます。

上場株式等とは

 次に、上場株式等とは何かを見ていきます。

この条において「上場株式等」とは、株式等(前条第二項に規定する株式等をいう。第一号において同じ。)のうち次に掲げるものをいう。
一 株式等で金融商品取引所に上場されているものその他これに類するものとして政令で定めるもの
二 投資信託でその設定に係る受益権の募集が第八条の四第一項第二号に規定する公募により行われたもの(第三条の二に規定する特定株式投資信託を除く。)の受益権
三 第八条の四第一項第三号に規定する特定投資法人の投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十四項に規定する投資口
三の二 特定受益証券発行信託(その信託契約の締結時において委託者が取得する受益権の募集が第八条の四第一項第四号に規定する公募により行われたものに限る。)の受益権
四 特定目的信託(その信託契約の締結時において原委託者が取得する社債的受益権の募集が第八条の二第一項第二号に規定する公募により行われたものに限る。)の社債的受益権
五 国債及び地方債
六 外国又はその地方公共団体が発行し、又は保証する債券
七 会社以外の法人が特別の法律により発行する債券(外国法人に係るもの並びに投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十九項に規定する投資法人債、同法第百三十九条の十二第一項に規定する短期投資法人債、資産の流動化に関する法律第二条第七項に規定する特定社債及び同条第八項に規定する特定短期社債を除く。)
八 公社債でその発行の際の金融商品取引法第二条第三項に規定する有価証券の募集が同項に規定する取得勧誘であつて同項第一号に掲げる場合に該当するものとして政令で定めるものにより行われたもの
九 社債のうち、その発行の日前九月以内(外国法人にあつては、十二月以内)に金融商品取引法第五条第一項に規定する有価証券届出書、同法第二十四条第一項に規定する有価証券報告書その他政令で定める書類(第十一号ロにおいて「有価証券報告書等」という。)を内閣総理大臣に提出している法人が発行するもの
十 金融商品取引所(これに類するもので外国の法令に基づき設立されたものを含む。以下この号において同じ。)において当該金融商品取引所の規則に基づき公表された公社債情報(一定の期間内に発行する公社債の種類及び総額、その公社債の発行者の財務状況及び事業の内容その他当該公社債及び当該発行者に関して明らかにされるべき基本的な情報をいう。以下この号において同じ。)に基づき発行する公社債で、その発行の際に作成される目論見書に、当該公社債が当該公社債情報に基づき発行されるものである旨の記載のあるもの
十一 国外において発行された公社債で、次に掲げるもの
イ 金融商品取引法第二条第四項に規定する有価証券の売出し(同項に規定する売付け勧誘等であつて同項第一号に掲げる場合に該当するものとして政令で定める場合に該当するものに限る。)に応じて取得した公社債(ロにおいて「売出し公社債」という。)で、当該取得の時から引き続き当該有価証券の売出しをした金融商品取引業者等(第三十七条の十一の三第三項第一号に規定する金融商品取引業者等をいう。ロにおいて同じ。)の営業所(同号に規定する営業所をいう。ロにおいて同じ。)において保管の委託がされているもの
ロ 金融商品取引法第二条第四項に規定する売付け勧誘等に応じて取得した公社債(売出し公社債を除く。)で、当該取得の日前九月以内(外国法人にあつては、十二月以内)に有価証券報告書等を提出している会社が発行したもの(当該取得の時から引き続き当該売付け勧誘等をした金融商品取引業者等の営業所において保管の委託がされているものに限る。)
十二 外国法人が発行し、又は保証する債券で政令で定めるもの
十三 銀行業若しくは金融商品取引法第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業を行う者(同法第二十九条の四の二第九項に規定する第一種少額電子募集取扱業者を除く。)若しくは外国の法令に準拠して当該国において銀行業若しくは同法第二条第八項に規定する金融商品取引業を行う法人(以下この号において「銀行等」という。)又は次に掲げる者が発行した社債(その取得をした者が実質的に多数でないものとして政令で定めるものを除く。)
イ 銀行等がその発行済株式又は出資の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係(ロにおいて「完全支配の関係」という。)にある法人
ロ 親法人(銀行等の発行済株式又は出資の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係のある法人をいう。)が完全支配の関係にある当該銀行等以外の法人
十四 平成二十七年十二月三十一日以前に発行された公社債(その発行の時において法人税法第二条第十号に規定する同族会社に該当する会社が発行したものを除く。)
(措法37の11②)

 ズラズラと列挙されていますが、一般的なものとしては、以下のようなものがあります。

  1. 金融商品取引所に上場されている株式等
  2. 公募投資信託の受益権
  3. 国債及び地方債
  4. 外国又はその地方公共団体が発行し、又は保証する債券
  5. 外国金融商品市場において売買されている株式等

 以前は、国債などの債券の譲渡による所得は非課税でしたが、平成28年以降は上場株式等として、上場株式と同じ課税方法になりました。

一般株式等とは

 それでは、一般株式等とは何なのでしょうか?

一般株式等(株式等のうち次条第二項に規定する上場株式等以外のものをいう。
(措法37の10①抜粋)

 このように、株式等のうち上場株式等以外のものが一般株式等とされています。

 例えば、非上場である会社の株式がイメージしやすいと思います。

一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例

 株式等が何か、また一般株式等と上場株式等の区分が分かったところで、それぞれの内容を見ていきたいと思います。

 まずは、一般株式等から。

居住者(中略)が、平成二十八年一月一日以後に一般株式等(中略)の譲渡(中略)をした場合には、当該一般株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(中略)については、(中略)他の所得と区分し、その年中の(中略)「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」(中略)に対し、一般株式等に係る課税譲渡所得等の金額(中略)の百分の十五に相当する金額に相当する所得税を課する。この場合において、一般株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。
(措法37の10①抜粋)

 ここで規定されていることは、以下のとおりです。

  1. 他の所得と区分する
  2.  総合課税ではなく、分離課税とされています。

  3. 税率は15%
  4.  税率は、一律15%です。(単一税率であり、超過累進税率ではない)

  5. 損失があるときも、損失の金額は生じなかったものとみなす
  6.  いわゆる譲渡損がある場合も、なかったものとされます。
     上場株式等の譲渡所得は別の所得区分ですので、上場株式等の譲渡益があった場合も控除できません。

上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例

 次に、上場株式等を見たいと思います。

居住者(中略)が、平成二十八年一月一日以後に上場株式等の譲渡をした場合には、当該上場株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(中略)については、(中略)他の所得と区分し、(中略)「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」(中略)に対し、上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額(中略)の百分の十五に相当する金額に相当する所得税を課する。この場合において、上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。
(措法37の11①)

 ここで規定されていることは、以下のとおりです。

  1. 他の所得と区分する
  2.  総合課税ではなく、分離課税とされています。

  3. 税率は15%
  4.  税率は、一律15%です。(単一税率であり、超過累進税率ではない)

  5. 損失があるときも、損失の金額は生じなかったものとみなす
  6.  いわゆる譲渡損がある場合も、なかったものとされます。
     一般株式等の譲渡所得は別の所得区分ですので、一般株式等の譲渡益があった場合も控除できません。

 このように、一般株式等も上場株式等も基本的には変わりませんが、上場株式等はさらに様々な特例がありますので、その点で違いがあります。

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上場株式等の譲渡に関する主な特例

 上場株式等の譲渡所得については、様々な特例制度があります。

 主なものは以下のとおりです。これらについては、別途記載する予定です。

  1. 特定口座制度
  2. 上場株式等に係る譲渡損失と上場株式等に係る配当所得等との損益通算
  3. 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
  4. 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(いわゆるNISA)

 

文書作成日時点での法令に基づく内容です。
平成25年から令和19年まで所得税額の2.1%の復興特別所得税が課税されますが、特別に説明が必要な場合を除き、説明の簡便化のため、省略しております。
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